第37章 大丈夫と思ってた ☆
「ね、ねぇまんばちゃん……なんでこんなことしてるんだっけ……ッ…」
山姥切「あんたが目を見せないからだ」
「いや、何度も言ってるよねッ……私の目、危険、危ない、よろしくないって」
山姥切「聞いてない」
「うそつけ!」
先程まで私は座って目を手で隠し、まんばちゃんは何も言わずにただ突っ立ってただけだったのに今の私たちは目を見せるか見せないかで揉めていた。
きっかけはなんだったっけ……目を見せなきゃ私の体質に惑わされないと思っていたのに、まんばちゃんは無言で私の腕を引っ張りながら言ったのだ。
目を見せろ、と……え、なんで?となるよね普通。
私としては毎日、そのボロボロの雑巾みたいな布を取ってお美しいお顔と髪を見せていただきたいのに、突然現れて私の目を見せろ、なんておかしいよね。
そして現在、男と女の力では考えるまでもなくまんばちゃんの方が強く目元から離されると私は頑なにまぶたをあげなかった。
まんばちゃんの両手は私の両腕を掴んでいるからお互いに両手が使えない状態で、まんばちゃんは片手を使うために私の腕を一纏めにしようと考えているのだろうが私もバカではない。
経験からそんなことをされてたまるか、と限りある力で腕を一纏めにされないように頑張っていた。
我ながら思う。
目を見せろとか言ってくる美少年怖い!
無理矢理見ようとしてくる美少年怖い!
まんばちゃんの場合、美青年か!
「そ、そもそもなんで目ッ……君、私の目を見て話さないじゃんッ……いつも話すとき布を深く被るじゃんッ……」
まんばちゃんと会話したのなんて指で数えられるほどではあるが、目をそらすか布を被るかのどっちかで今まで私の目を気にかけるようなことはなかったのに今さらなぜ……
山姥切「あんたの……主のことを知りたい。そう思っただけだ」
「うわッ……ときめくような台詞をどーもありがとうッ……でも本当ッ……む、りだか…らぁ!」
今まで、そうか……とかクールな対応しかしてこなかった人がそんなこと言うなんてびっくりだ!
「も、ッ……きつ……ッ……んん!」
いい加減、腕も疲れてくるとまんばちゃんはその隙を見逃すわけもなく私の腕を……ではなく唇を重ねた。
…………は?