第37章 大丈夫と思ってた ☆
きっと今の私の顔は、間抜けな表情でもしていることだろう。
驚きから、目をぱちっと開けてしまうと翡翠色の瞳と目が合う。
あ、これよくな……ッ……!
どくん、と心臓が跳ねるような感覚に驚いた。
まんばちゃんの瞳から目がそらせなくて同時に身体が熱くなるのを感じた。
おかしい。
私の瞳を見たら、見た側がどうにかなるはずなのに……私がおかしくなりそうな感じがする。
この感じ……とても不安になって怖くなるやつだ。
自分が自分でなくなるような不安感。
だけどまんばちゃんの瞳を見ていたら不安なんて感じずに力が抜けていった。
にゅるりと舌が入り込んでくると、ビクッと身体が反応し反射的に離れようとしたがそれを許してはもらえず舌を絡められるとくらっときてしまう。
まるで媚薬だ。
熱に反応して効果を出す、媚薬。
身体は火照っていき頭のなかもぐちゃぐちゃになって考えることができなくなっていく。
「はッ……ンンッ……ッ…」
長く濃厚に、でも優しい口づけに私は酔いそうになりながら私の霊力が吸い取られているとさえ錯覚しそうになると、いつの間にか解放されていた手で軽くまんばちゃんの肩を押すと容易く離してくれた。
山姥切「ッ……嫌、だったか」
「……ッ……あ、つい……」
山姥切「……おい、あんた……なんで瞳がそんなッ……」
無理。
熱くてつらくて苦しい。
我慢できない……。
まんばちゃんの肩に手を置くと私は深々と唇を重ねた。今度はまんばちゃんが驚く番だった。
何度も角度を変えて唇を重ねながら、まんばちゃんの瞳をじっと見続ける。
青とも緑とも言えない美しい宝石のような瞳。
見たものを虜にしてしまうようなそんな危なさを感じながら口づけを続けていくと私は理解した。
もう、引き返せないのだと……。