第34章 怪我人
「燭台切さん、伽羅ちゃん……私流の手入れをしますからちょっとじっとしていてくださいね」
二人の腕に触れて力を流し込むとその手入れはすぐに終えた。
燭台切「ありがとう……主、大丈夫かな?」
「え……な、何が……」
燭台切「泣きそうな顔、しているよ」
燭台切さんの指摘を受けて自分の顔をペタペタと触れる。
自分ではどんな顔をしているのかわからないがきっと指摘通り泣きそうな顔をしているのだろう。
審神者としてみんなと同じことをするのが正しいと思いたいけど、特別な手入れをすれば長く痛みを感じることなく手入れができる方法を私は知っている。
なのに……私は、迷っている。
目の前で鶴丸さんが苦しんでいるのに……
伽羅「やりたいようにやればいい。あんたはどうしたい」
私の考えていたことを見透かしたかのように問い掛けてきた彼に何も言えなくなる。
私が、どうしたい……か。
「私は……鶴丸さんを治したい。痛い思いなんてしてほしくない」
そう答えると、伽羅ちゃんはあのときのように頭を撫でてくれた。
うん、私らしくやろう。