第34章 怪我人
「はぁぁ……まさか鶴さんだけで資材を使い果たすだなんて……手入れってすごい」
あれから眠っている鶴丸さんの手入れをしたはいいがまさかあんなにあった資材をすべて使うことになるとは思わなかった。
鶴丸さん恐るべし……。
初めて知ったことではあるが手入れをしたところでキスの時みたいに力を流し込めば傷がすぐ癒えるというわけではないらしい。
この痛々しい姿のまま、傷が癒えるのを待たなきゃいけないなんて……
そして、まさか私がどうにかするのではなく妖精さんが本体を綺麗にしてくれるなんて…まあ、そこは素人よりプロがってことで納得しよう。
「……やっぱりキス、しておくべきだったのかな」
みんながやっている普通の手入れとはこういうことのことを指すため私だけが特別なことをするのはなんだか違う気がするし、みんなと家族になりたい、仲良くなりたいとは思っていてもキスなどするような仲を望んでいるわけではないんだ。
たかがキス。
皮膚と皮膚が触れあうだけのもので人を助けるために人工呼吸もあるくらいだ……鶴丸さんを助けるためにキスを……するのは間違いではないのに、迷いと躊躇いがあって行動に移すことができない。
こういうところが、だめなんだよね……