第34章 怪我人
「起きても怒らないでね……」
鶴丸さんが寝ている布団の横に正座をして座る。
やると決めたとはいえ美形の人とキスなるものをするなんて緊張しないわけがない……それに……
「お二人の手入れは終えたのになぜいるのでしょうね?」
燭台切「今後のために見学をね」
伽羅「……気にするな」
「今後のためってなに、見学ってなに!気にするよ。何が楽しくてキスするところを見られなくちゃいけないの……」
見学って言ったって見学しなくても十分なテクをお持ちの癖に…。
燭台切さんとは起きている状態でしたことあるし、どことなくキス魔な感じがするから危機感的なものを感じるんだよね。
「……それじゃ、二人のことは……置物か何かに思っておく」
何をいっても出ていきそうにないのでもう気にしないで手入れをすることにした。
けど……美形だからな……顔を近づけることが難しく思えてきた。
「……な、なにも下心があってする訳じゃないもんね……これは人助けであって、私には……」
言い訳じみたことを呟きながらも鶴丸さんの顔の横に手をついて顔を近づけていく。
何もキスじゃなくても時間はかかるけど腕から……いや、だめだ。
二人が聞いて見ているのに今さらやーめた、なんて言えるわけが……
「い、いきます」
ゆっくりと唇を重ねるとすぐに離す。
燭台切「主……?それじゃ手入れはできてないと思うよ」
「だ、だって柔らかいもん!」
伽羅「……柔らかくて当然だ」
いや、そうなんだけど。
うわぁ、キス……しちゃったよ。
触れあうだけのものとはいえ鶴丸さんと……既に数名としていても鼓動というのはいつだって高鳴ってしまうものなんだな……。
手入れも何もできてないのに唇を奪うだけ奪っておしまい、なんてビンタされそうな感じもあるのでもう少し頑張ってみよう。