第34章 怪我人
「また部屋に帰るっていうのも勿体ない話だよね……」
せっかく外に出たならもう少し外の空気を吸うべきだろう。
今の私の姿を歌仙さんに雅じゃない攻撃されそうではあるが……まあ仕方ない。
なにか変化はないかな、くらいに考えながらゆったりと歩く。
馬も元気そうだし、鯉も元気そう……お庭は綺麗だし花もきれい……そういえば私は特に指示を出さずに長谷部に任せてはいるが掃除なども長谷部が指示をしてやってくれているのだろうか。
だとしたら……やっぱり何かお礼としてプレゼントを用意するべきだろう。
小判の方もみんなのお陰で貯まってきたし、あれを現代のお金に変えてもらって現代に遠征という名目で……
「……鉄の、匂い」
ほんのりと香る顔を歪めたくなるような匂いに気づく。
どこから……あ
鶴丸「うっ……」
「い、いちご大福になってる!」
少し離れたところに鶴丸さんはいた。
燭台切さんと伽羅ちゃんに肩を借りてなんとか歩いてますって感じではあるが血まみれで見るからに重症だ。
私は急ぎ足で彼らのもとへと走る。
「ど、どどっどったの!」
鶴丸「あ、ぁ……主か……」
うわぁ、つらそう痛そう……そして苦しそう。
「説明は後ででいいから二人ともあっちの小屋に地下が隠されてるからそっちに鶴さん運んで!他に怪我人は?」
燭台切「数人軽傷で済んでいるよ。鶴さんだけが重傷で……」
なにしてたんだこの大福餅。
それは今はいいとして私は資材をおいてある部屋に走る。
こんなことなら乱ちゃんに資材運び、手伝ってもらえばよかったぁ!