第32章 連絡
『刀剣達との仲はそこそこってのはわかった。そんで、おまん自身はなんもないんか?』
「そんなこと言われても……まあ、ひとつ早急に解決したいことなら……」
『悩みか悩みなのか!どないしたん?ん?お兄さんに話してみんしゃい』
「悩み……そうですね。体質のせいで悩んでます」
『…………』
無言になった。
体質のことは呪いが住み着いているってことで無理に納得するつもりではいたが……本心は納得したくない。
つらいし、つらいし、つらいし……とにかくしんどい。
飴のおかげで辛さは軽減されているが、それでも夕方辺りから彼らに会うことを控えなきゃいけないのは寂しくもある。
もっと仲良くなりたいのに……。
『そっかぁ、それが悩みかぁ……それで?』
「それでって……どうにかならないのですか」
『どないもできんよー刀剣の誰かに神力を体内に注いでもらわないとなー。飴ちゃん食べるかチューするか……確実なのは交わったらエエんや、なぁ?』
「それは、嫌です……」
自分の勝手でそんなこと、したくない。
私は彼らのことを愛したいと思う。
私が感じることのできなかった愛を、彼らに与えたいと思っているけどそれはそういうことをして与えるものでも得るものでもない。
私は、ただ普通に……
『……簡単には壊れんといてや、なぁ?なつみ』
「こ、われませんよ。もう死ぬなんて考えない……」
『そうやなぁ、お前が死ぬことは刀剣達をも殺すって意味に繋がる。それを考えたらもう考えられへんよなぁ?』
「……飴、多めにください。この体質と付き合っていくのが運命なら受け入れますから」
『りょーかい。その代わりお代は……お前の血をもらう。それでは審神者様、頑張ってくださいね』
それだけいって通話を終えてしまう彼。
審神者というのは大変ではあるけど……私が選んだことだ。
もう、後悔はしたくない……。