第32章 連絡
『そんで、最近どない?刀剣男士とは』
「……審神者の仕事のため最近部屋にこもってるので……なんというか……」
『うわ、ほったらしかいな』
「そ、そういうわけでは……」
数名の人としか話してないしある意味ほったらかしと言われても仕方がない状態ではある。
仕事のためだからって部屋にこもるのは失敗だったのだろうか……でも、そうでもしないといつまで経っても仕事を終えるなんて……そこは私の意思の問題になってくるが。
『あんなぁ……おまんが不器用なのはよぉっく知っとる。だからってな奴らをほったらかしにするのは……』
「い、痛くなるようなこと言わないでください」
胸元を押さえながらチクチクと痛む胸に罪悪感というものを感じた。
彼らの心のケアも任されていたのにほったらかしにしてしまうだなんて……なんだか心配になってきた。
長谷部はみんな元気だと言ってくれるが彼のことだ。私に心配かけまいと嘘を吐いてる可能性もないとは言えない。
「……き、嫌われたりしてないかな」
『俺はなんとも言わんけど……まあ、仕事もエエけどちゃんと構ったり』
やるべきことも落ち着いているし、そろそろ部屋から出ないと……忘れられそうだ。
それだけは絶対嫌だ。
仕事と子育ての両立って難しいとは聞いたことがあったがこういうことを言うのだろうな……子供のために仕事を優先にすると子供の心は真っ黒に、とか。
私の両親も……いや、それはないか。
愛されていると感じられた瞬間なんて一度たりともなかったのだから……
『……俺はおまんの担当じゃ。何か欲しいものや困ったことがありゃ俺に言ってくれればエエ』
「……私にとってあなたが親よりも親らしいことをしてくれた人なんですよね」
『ん、なんやのいきなり。照れるやん』
「まあ、感謝はしてても素顔も素性もわからないあなたを父と思える日はこないでしょうけど」
『え、ひど』
せいぜい、優しい近所のお兄さん……みたいな立ち位置だ。
いつか、私にも……家族を作れるのかな。