第32章 連絡
「それで何の用なんですか」
電話の向こうの声は今にも泣きそうなほどだったので本当に泣かれても困るので早めに切ることを考えて会話をすることに。
この人には感謝はしているし、優しい人ではあるんだけど……なんていうのかな。
残念な人、なんだよね。
『もっと俺を可愛がってよー俺頑張ってるんよ?』
「はぁ……そうですか」
『昨日だって審神者の素質を感じたヤのつくお仕事してる人とポリ公さんが歩いとったから声かけたらどこのディビジョンだ、とか言われて追い払われるし』
「すごい人に声かけるんですね」
ヤのつくお仕事の人とポリ……警察の方って、審神者の素質がある人っていろんな人がいるんだろうな。
『その前にはちっちゃいデザイナーとかいう子と大正か明治時代にいっそうなべっぴんさんに声かけたらいじめられるし』
「あなたは怪しいですからね……」
顔を紙で隠して審神者にならないか、なんて声をかけてくる人は誰がどう見たって怪しいだろう。
私も怪しいと思いながらもついていったわけだし……。
『そのあと、公園にいったら身ぐるみ剥がされとった兄ちゃんと並んでお弁当食べてな……俺の分も取られたけど』
「毎日楽しそうですね」
審神者の勧誘のために仕事してますアピールをしてくるのはいいのだが誘う人を間違えてないだろうか……。
まあ、聞いている限りでは個性豊かな人達のようだけど……。
『あとはなあとはなぁ、髪のなっがい綺麗なお医者さんとなホストとな幸薄そうな会社員も見つけて……』
「あなたが声をかける人って本当にキャラ濃そうな人達ばかりですね。仕事で忙しそうな人達に声をかけるなんてよろしくないのでは……」
ヤのつくお仕事の人と警察の人とデザイナー……医者に、ホストに会社員……なんかどこかで聞いたことある気もする組み合わせではあるが、そう珍しいものでもないだろう。
「それで、審神者になってくれる人はいたんですか?」
『いや、みんな断ってな……公園の兄ちゃんはあともうちょっとってところやったんやけど……ギャンブルなんてできひんよって言ったら断ってきてなぁ』
本当にキャラ濃そうな人達だ。