第32章 連絡
「おわったー!」
長谷部が綺麗に整理整頓や仕分けをしてくれていたおかげでやるべきことをそれなりに終わらせることができた。
報告書やら戦略やら自分なりに考えてやってみたが案外できるものだ。
あとは……
「資材と小判……いや、お金か。その辺りも長谷部のおかげで安定しつつあるね……」
改めて紙束の一枚に目を通すと彼らの報告をうまくまとめて書き記されている。
私には会社のことなんてわからないが、長谷部なら必ずエリートコースまっしぐらの人生を歩んでいるんだろうな……。
ただの学生だった私にでも優秀だとわかるほどの腕だ。
彼のことを見習って頑張らなきゃとは思うのだが……
「完璧にはできないのよね……」
真似ることはできても長谷部の能力の一部しか真似できないだろう。
結局は頭の回転のよさか……私の頭は錆び付いて鈍ってるから長谷部のようにはできないだろうな。
「長谷部が帰ってくるのは夕方かな……」
今日は長谷部も遠征組に入っていたので朝に挨拶だけして、そのあとは会っていない。
私の仕事のサポートもして、自身の役目も真面目にやり……どうしよう。
真面目なのは美徳とも言えるが、彼に休みがないような気がしてきた。
いや、休みがない。
休んでいない。
朝は早起きで私の部屋にきてからはずっと書類整理を手伝ってくれ、お昼ご飯も時間を忘れて没頭することもあったのでお昼を抜くことは多々あった。
十分程度の休憩時間を挟んだりはしていたが、ずっと私といて仕事ばかりを手伝わせていた。
夕飯くらいの時間になるとこのくらいでって終えてそのあとは長谷部の好きなようにさせているとはいえ……全然休めていないはずだ。
ブラック企業よりも私がブラックにさせてる。
労働なんとかに引っ掛かったり……いや、どうなんだろう。
刀剣男士をこんなに働かせて罰とか受けるんじゃ……