第31章 部屋籠り
「ち、違います!あ、あのッ……食事、歌仙さんが運んでくれそうな気がするで夜の食事は燭台切さんに運んでもらいたくてですねっ」
燭台切「え、あ……そ、そうだよね。ごめんね勘違いして」
「いえ……ちょっとお話ししたいことがあって……燭台切さん、これから遠征でしょう?だから……」
危ない危ない。
我ながら発言するなら言葉を選ぶべきだと思った。
今はとにかく慌てず落ち着いていないと……また、変な気分になるので気を付けなくては。
燭台切「それって大事な話?」
「大事……かな。その話は帰ったあとにさせてもらいます。今話してしまってもいいのですが長引くとなると遠征に支障が出てはいけませんので今は口を閉じておくことにします」
口の前で指でバツ印を作ると燭台切さんは笑って一言、あとでねと言って出ていってしまった。
今思うと、こんなに人と話すのは初めてかもしれないな……親の期待に応えなきゃって思ってたときは友人も作らずずっと勉強していたから人と話す機会なんてそうなかった。
だから、嫌われた。
なかには友達になろうとしてくれた子もいたはずなのに私は伸ばされていた手を払ったのだ。
自分で自分の幸せに背を向けていたのだから自業自得だと思う。
今さら気づいても、もうあの頃には戻れない。
だから今は彼らのためになにができるのかちゃんと考えていかないとな。
「よし……落ち着いたら子供たちと遊ぼう」
私は、この本丸で前を向いて生きる。
そう思える機会をくれた政府の人に私は大きな感謝を感じた。