第31章 部屋籠り
「そういえば長谷部が怪我してたのに私に何も言わなかったんですよね……燭台切さんみたいに怪我したーって言ってくれればいいのに……」
燭台切「わざわざ君にお願いするのが申し訳なく思って言わないんじゃないかな」
「んー…軽傷なら私の出る幕はない感じのことを言われているのですが……軽傷でも痛々しいものなら手入れした方がいいですよね」
燭台切さんの腕に手をかざして力を送るようイメージをする。
一気に流し込まないよう気を付けながら手入れを進めていくとあっという間に終わった。
疲れもないし……うん、大丈夫そう。
燭台切「君の力はあたたかいね」
「ありがとうございます……?そう言っていただけるととても嬉しいです」
力が温かいことと私になにか関係があるかはわからないが何となく褒められた気がして嬉しくなってしまうが、少しくすぐったい感じもした。
まだ、慣れないな……。
「それじゃ、私はお仕事の続きをしますので……」
燭台切「あ、そうだね。それじゃ、僕は行くね」
食事も手入れも終えたのだからこれ以上、燭台切さんの大切な時間を私のために浪費させるわけにはいかない。
そう思って仕事をすることを伝えるとあっさりとした返事が返ってきて少し驚いてしまう。
キスのことを言ってきたくらいなので、するまではここにいるかもと考えていたのでちょっと拍子抜けではある。
「あ、そうだ……燭台切さん、今日の夜……またここにきてもらってもいいですか?」
燭台切「……えっと、それは……夜のお誘いってこと、なのかな?」
夜のお誘い……?
燭台切さんが驚いたようにこちらを見るものだから私は首をかしげてしまう。
おかしなことを言っただろうか……?
夜のお誘いとはいったい……。
なんのことだろうと考えると、どういう意味なのか気づけば顔中に熱が集まる。