第29章 疲れましたね
「お、おかえりっ……なさい」
鶴丸「お、おう……俺らより疲れた顔してるぞ」
「いろいろあってね……まあ、気にしないで」
私はなかなか玄関にたどり着けず本丸のなかをひたすら歩いていたのだ。
方向音痴というわけでもなかったのだが……ここは迷路みたいだからすぐ迷ってしまう。
本当……疲れましたね。
「……こほん、みんな遠征ご苦労様です」
乱「疲れたー」
「乱ちゃん、ご苦労様」
堀川「主さん、はいこれ」
堀川君が何か立派な箱を差し出してくる。
なんだろう。
開けたら食べられる危ない箱だろうか。
それともあけたら煙幕でも出る箱かな。
堀川「主さんの大好きなお金が入った小箱ですよ」
「……いつから私はお金好きってことになったのかな」
まあ、金欠だから嬉しいけど。
各自拾ってきたものなど報告をしてくれそれを一時、一つの部屋に置いておくことにした。
資材もたくさんあるので、あと道具さえあればいつだって手入れはできるはずだ。
にしても……
「ふ、わぁッ……」
眠い。
前の本丸にいたときは霊力の使いすぎでよく寝ていたが、最近は全然だったのにな。
今の私には休んでいる暇もないし、働こう。
みんな、私がなにも言わなくても働いてくれているんだ。
私がだらけてたら意味がない。
歌仙「あ、君!」
呼ばれた気がして振り返ると私は第一に逃げることを選択した。
歌仙「え……」
怒られる。
そう思って私は危なくないよう小走りで歌仙さんから逃げることにした。
眠くてしんどい上に怒られたくはない。
自分の身の安全、保身に走ろう。