第29章 疲れましたね
「ああー……うー……」
五虎退「あ、あるじさま……ごめんなさい」
「いや、大丈夫だよ。いきなり姿を消した私たちが悪いんだから五虎退くんはなにも悪くない……」
あの後、部屋から出るとオロオロしている五虎退君を見つけ私は無事飴玉を入手できたのだが、反動というのだろうか……高まり過ぎた身体を飴で抑えると、ドッと疲れてしまった。
この体質にいつまでも悩まされたくないし、何か考えないとな……いや、そもそも一部の人が私をドキドキさせるようなことをしなければ私も平和なのだ。
かといってお殿様みたいに部屋にこもりたくないからな……
自室に着くとやっと休める、と力を抜いて机の前に座ると宗三さんのことを思いだした。
平然とはしてたけど心配だからな……。
「五虎退くん。悪いんだけど……これ宗三さんに持っていってくれるかな?」
五虎退「え、あ……はい!」
飴玉の入った瓶ごと渡すのは重いかもと思って包み紙を飴に巻いてから一つだけ五虎退くんに渡す。
何事も念のため、だ。
五虎退くんは頼られたことが嬉しいのか笑顔で部屋から出ていってしまう。
その際に、ペコリと頭を下げていくのが可愛くて私は癒されていた。
「……そろそろみんな帰ってくるかな。お出迎え、しないと」
立ち上がって自分も部屋から出る。
手入れ部屋……本当にどこにあるのだろう。
ここまで見つからないなら、こんのすけに頼んで道具をもらって一室を手入れ部屋にしようかな。
そっちの方が早い気がする……。
「……玄関って、どこだっけ」
お店みたいにどっちに行けば玄関とか天井からぶら下げでもしないと……たどり着ける自信がないな。