第28章 お預け ☆
宗三「さて、僕はもう行きますか……ほら、あなたもそんな格好でいたら誰かに襲われますよ」
拘束と目元を覆っていた布を取られると明るさに慣れてない目には些細な光でさえ眩しくて、目を閉じてしまう。
熱さや目眩はまだ感じるが、少し休んだら大丈夫になるだろう……多分。
だが、今はそんなことよりも……足りない。
高めるだけ高めてこれだけというのは今の私にはつらいことなのだ。
私は、誰とでもするような女を目指しているわけではないがここでやめられると……
ショートケーキのイチゴを食べようとしたら横取りされた時のような気分になるのだ。
横取りされたことはないが。
「ん……そ、うざさッ……つらかったり、しない……の?」
なんとか身を起こしながら気になっていたことを聞いてみた。
宗三「さっきも言ったようにあなたごとき小娘に発情なんてしませんよ。鏡を見ている方がマシです」
なんかムカつくこと言われた。
私で反応はしないが自分では反応する……え、この人ナルシさんなの……?
乱れた服を整えながら宗三さんを見ると私に背を向けて立っていた。
どんな顔しているか知らないが……きっとお美しい顔はどんな表情をしていても美しい、という感想しか出てこないのだろうな。
「ふぅ……ッ……」
深呼吸をして落ち着けるくらいには気持ち的にも大丈夫にはなったが……気を抜いてはいられないので、ある意味すごくつらい。
ずっと気を張るってしんどい。
宗三「……何ですか。物足りないとでも言うつもりですか」
「そんなんじゃ、ない……ですよ。」
宗三「そうですか。では」
それだけ言って足早に部屋から出ていってしまう宗三さん。
なにこれ……お預け継続中?
◇◇◇
長谷部「……こんなところに座り込んで何をしてるんだ。顔も赤いぞ」
宗三「あなたには関係ないですよ。この駄犬……触らないでください馬鹿が移る」
長谷部「喧嘩売ってるのか」