第27章 遠征
「鶴丸さんも無理しない程度で頑張ってくださいね」
鶴丸「あぁ、君に心配なんかかけたら後ろから刺されそうだからな!」
「いや、誰に……あぁ、そういうこと……」
鶴丸さんの背後には……石切丸さんがいた。
私の視線に気がつくとニコッと笑いかけてくれたが私はふい、と視線をそらした。
一応まだ怒ってはいるのだ。
あんな……あんなことを……。
石切丸さんとの関係を秘密にできていたならよかったが髪色や瞳の色が変わったことで、みんなにはそういうことかと温かい眼差しで見られたり神力がどうのこうのって関係を知られることになって恥ずかしい思いをしたのだ。
三日月さんが原因だった気もするけど……
鶴丸「……どうかしたのか?」
「あっ……えっと……服汚さないでくださいね!」
考え込んでしまったようで鶴丸さんが心配そうに見つめてきた。
私は審神者なのに……心配してくれるなんて本当、優しい刀だ。
「それじゃ、改めてよろしくお願いします。用意ができたら玄関の方に来てください……一緒に行けなくとも見送りだけはしたいので」
心配ではあるが彼らを信じて見送ろう。
前の本丸での彼らの姿を思い出すと本当に怖い。
あんな傷まみれになったらと思うと……でも、いつまでも怖がっていちゃいけないと思うから彼らを信じて待つしかないのだ。
「まんばちゃんも乱ちゃんも……気を付けてね」
山姥切「……あぁ」
乱「ボクたちは大丈夫だよ!主さんってば心配しすぎ」
「できることなら怪我なんてしてほしくないからね……」
無理なことだとわかっていても無傷でと願ってしまうのは悪いことではないはずだ。
誰だって大好きな人たちが傷ついている姿なんて見たくないのだから……。
「…………い、石切丸さんも……怪我、しないでくださいね」
そして私は近くにいた石切丸さんにもそう伝えた。
嫌いって訳ではないのだ。
ただ少し苦手な要素があるだけ。