第27章 遠征
「…………いただきます」
お風呂を済ませたあと、私はまた……怒られた。
ちゃんと全身を清めこれから食事だと考えていたところで気づいたのだ……着替えの服がない、と。
そして、タオル一枚で廊下を歩き回っているところを歌仙さんに見つかったのだ。
よりにもよってあの歌仙さんに……それからは誰のかもわからない服を着させられ今や食堂で食事……朝から疲れて味なんてよくわからなかった。
燭台切「美味しいかい……?」
「あ、あぁ……はい……とても、美味しゅうございます」
燭台切「歌仙君も本気で怒ってるわけじゃないと思うからさ……主のためを思って、ね?」
「……わかってますよ。もっとしっかりとした主になれたらよかったんですが、私っていつもこうで……完璧を求めるほど失敗ばかりして……」
現世でも変わらない。
頑張れば喜んでもらえる認めてもらえると一生懸命頑張ってもあの人たちは私を……見てはくれなかった。
私は優れた人間ではない。
天才的な頭脳を持ってるわけでもない平凡的な私にあの人たちは勝手に期待して……
「歌仙さんが怒るのは仕方のないことですし、変な話ですけど……その、嬉しかったりもするんです。彼はとても暖かい人なので怒っていてもそこには暖かみを感じられて嬉しいんです」
私がそう答えると燭台切さんは優しく笑ってくれた。
怒られて嬉しいなんて変な子かと思われると思っていたが、私が言いたいことは伝わったようで安心した。
私はここが好きだ。
ここにいると安心できる……まだ自分の居場所だと思っていいものか迷いはあるが、いつかここが帰る場所なんだと思えるようになればいいな。