第26章 落ちました
「あ、あの山伏さんは朝食は、召し上がられましたか」
山伏「既に食べ終えたあとであるぞ」
「あー……そうですか。では私はまだなので食べてきますね?ちゃんと食べないと歌仙さんに怒られてしまうので……」
逃げるわけではない。
だが山伏さんのことを知るためにも一度離れて情報を集めた方がいい。
山伏「主殿」
「あ、はい何でしょう」
早くいこうと背を向けたところで声をかけられた。
なにか話でもあるのだろうかと、じっと山伏さんを見つめる。
山伏「山籠りの許可をいただきたい」
「あー……山籠り、ですか…………え、山籠り!?」
え、な、なんで!?
一目で主とは認めてもらえないほどの失礼なことを……いや、落とし穴に落ちる主なんて恥ずかしいし情けないと思われても仕方ないが……だからといって山に……
山伏「拙僧、山籠りをするのが日課であってな」
「日課って……え、毎日いないと困るのですが……」
戦の編成とてバランスを考えてするように言われているので、山伏さんがいないと困る可能性もないとは言えない。
さすがに山籠りを日課にされるのは……あ、でもそういうのが趣味なら……
「毎日は、困りますので……月一くらいなら……」
山伏「月一、とな……」
「……い、今は月一で……時と場合によってはもう少し増やしたり……」
そもそも山籠りってなにするの!
精神統一?修行?
え、本当なにするの……熊でも狩るの?
キャンプ……とは違うか。
山伏「……うむ!相分かった!ではすぐに山籠りの準備をして参る」
「え、ちょ!い、今からですか!山伏さんっ……や、山伏さーん!」
私の呼びかけも聞こえなかったのがどこかへ行ってしまった山伏さんを止められるほどの力は私にはなかった……。
山籠りか……まんばちゃんも部屋に籠るとか言い出したらどうしよう。
そういえば、堀川君も国広だ……兼さんがいるから大丈夫だね。
「……お腹もすいたし、ご飯食べよ……」
私の朝はまだ始まったばかり。