第26章 落ちました
「あ、そうだ。こういうときこそ狐さん」
私には強い味方がいるのを忘れていた。
政府の人とは別に審神者について、いろいろと助言をくれる可愛い狐さん。
オスかメスかすらわからないけど、あの狐さんなら呼ぶだけで出てくるはずだ。
あの小さい身体では私を引き上げることは不可能ではあるが人を呼びにいくには十分。
「助かると思うと落ち着いてきたな……出でよ!管狐!」
地面に向けてそんなことをいうが、なにも起こらないし現れもしない。
おかしいな……いつもなら、なんですか主様!って出てくるのに……
「……こんのすけ、助けてほしいのだけど出てきて」
シーン。
誰も出てきやしない。
タイミングが悪いだけなんだと無理に納得はするが状況は何一つ変わっていない。
私は穴に落ち、抜け出せない。
やっぱり爪が剥がれても何とかしてのぼるべきなのだろうか……刀剣達と違って手入れができないから治るまでに時間がかかるかと思うと無茶なこともできやしない。
声がかれようとも助けを叫び続けるのがいいのだろうか……
「ふぅ……よしっ!誰か助けて!」
?「どうなされた主殿!」
「………………?」
知らない人がいるー!
ひょっこりと姿を現した、なんか修行僧みたいな人の知り合いは私にはいないはずだ。
主殿って呼ぶ辺り多分刀剣男士なのだろうが私は知らない。
見てないし話してない……誰だ。