第22章 近侍
「あ、あの長谷部さん……?お手を離してほしく思ったりするのですが……おーい長谷部さーん」
長谷部「……もう少し握らせていただけませんか……?」
「あー……ご満足いくまで握っていてくださいなー……」
私の手がなんだというのだろう。
長谷部は私の手を握ったり感触を確かめてるようなマッサージしてるような触り方をしているがなにか意味があったりするのだろうか。
手袋越しじゃ温もりも感じられないんじゃと思いながらも好きなようにさせておく。
あまりじっと見る機会がなかったけど、長谷部も結構かっこいい人の部類に入るんだよね。
みんな美麗だから私だけ浮いてる感があるのが否めない……。
じーっと握られている手を見ていると変にドキドキしてしまう。
手袋越しでも、長谷部の手は大きくてなんだかいやらしく感じてしまう。それは考えすぎなのだろうけど手フェチでもあるのかドキドキしてしまうのはどうしようもない。
これ、ちょっと危ないかも……
「あ、あの……長谷部そろそろいいんじゃ、ないかな」
片手だけとはいえ、そんな愛しそうな瞳で手を握られたりされるとさすがにときめく。
ただ単にスキンシップらしきものをしたかっただけならもう十分なはずだ。
そう思ってやめさせようとしたのだが……
「ん、ちょっ……長谷部…!」
腰をグッと引かれ驚き、なんだか嫌な予感がして長谷部を見ると頬を赤く染め息を荒くさせ私を見下ろしていた。
藤色の瞳と目が合うとドキッとしてすぐに目をそらした。
あれ、この感じ……
「ま、まさかっ……は、長谷部部屋に入って!」
長谷部の手を引いて自分の部屋に入るとすぐに鏡で自分の瞳を確認してみる。
真っ赤な、深紅の瞳になっていた。
身体が熱くなってきた時点ですぐやめさせるべきだった。
「あぁっ……長谷部ごめんなさい!そういうつもりなかったのに……っ」
あの人に飴玉を食べれば的なことを教えてもらったけど長谷部がこうなってから私が飴を食べたところでどうにかなるのだろうか。
手遅れなんじゃ……そう考えても長谷部がつらそうにしているのを見ていられなくて霊力を上げたり抑えたりするのなら……念のため試してみよう。