第22章 近侍
「私の近侍になって……?」
片手を差し出し握手を求めた私だったが返ってきたものは……大量の花びらでした。
長谷部「そ、そんな主が俺と夫婦の契りを結びたいなどと……」
「ここの刀剣男士って、みんな耳が遠いのかな……」
パッパッと花びらを払いながら長谷部の発言には、私も首をかしげた。
近侍を夫婦にってどんな聞き間違いだ。
告白とかすっ飛ばして、いきなりプロポーズする女でもないのだが。
「改めていうけど……長谷部に近侍を頼みたいの。あっちやこっちやと気になって審神者の仕事が手につかなくって……お手伝いしてほしいけど、第一に私の監視をお願いしたいなって」
長谷部「夫婦の話は……」
「その話はまた今度。今は近侍のことをお願いしたいんだけどな……」
長谷部「わかりました。俺でよろしければ主のためにお役にたってみせましょう」
優しく微笑んでくれる長谷部にほっとした。
断られるかも、なんて考えてなかったわけではないからね……長谷部の回りにひらひらと桜らしき花びらが舞っているが、あれはなんだろう。
長谷部の力かなにかだろうか。
私の足元には大量の花びらがあるのだが……後で掃除しないとな。
「じゃあ、改めてよろしくね長谷部」
手を差し出すと、長谷部は手を握ってくれない。
やっぱりまだ抵抗があるのだろうか……まあ、まだ数日だし仕方ないかな。
そう思って手を下ろそうとすると、両手で手を握られビクッと身体が跳ねた。
びっくりした……
「あ、えっと……よろしく、ね……?」
長谷部「主の温もり……とても、暖かいのですね」
ち、ちょっと待て。
この短時間で何があったと思えるほど恍惚な表情をして私の手を握っているんだが……
え、こわ……