第21章 口説かれました
「ほんと、ろくでもない服ばっかくれて……」
部屋の中で政府の人からもらった服を見るがどれを着よう、なんてうきうき気分ではいられない。
どれが着れるだろう、と悩まないといけないなんて……
「体操服は……上はまあ、いいとして下がブルマだからな……」
うまいこと組み合わせないといけないのが面倒だ。
ジャージの他にまだ着れそうと思えたカッターシャツらしきものを見つけてそれを着ることにした。
サイズがLLになっていたのは、狙ってやっているのだろうが、こんなのジャージを着てしまえば狙いもなにもない。
よし、これでいこう。
着替えの服を持って部屋から出ると誰もいないことにほっとした。
鯰尾みたいに、いきなり現れて、わっと驚かされたら今度はグーで殴ってしまいそうな予感がする。
「……でも、ああやって驚かしてくれるのは少しは心を開いてくれてるからなのかな」
そう考えると嬉しいものがあるから不思議なものだ。
長谷部「主!」
「あ……犬っぽい人……あー……は、長谷部!」
長谷部「あ、はい長谷部ですが……?」
やばい、つい犬っぽいなんて言葉が……でも……犬っぽいしなぁ。
こういう人が近侍してくれたら、仕事……捗るのかな。
「ねえ、長谷部」
長谷部「なんですか主!」
「私の近侍をしてくださいませんか」
とにかく今は審神者業に慣れよう。