第1章 始
鯰尾「それで、主はこれからどうするんですか?」
「とりあえず前任に傷つけられた刀達を手入れして回ってるんだけど隠れてるのか全然出てこなくって」
鯰尾「え、でも主……手ぶらですよ?」
「緊急時ということで落ち着くまでは特殊な手入れをさせてもらってます。鯰尾も手入れするよ……手を出して?」
鯰尾「あ、どうぞ?」
鯰尾の手を握ってみると、より強く霊気を流し込みたかったので、恐る恐る指と指を絡ませるようにして両手を握ってみる。
距離も近いしこれはドキドキするね。
加州「主って結構大胆だよね……」
「そ、そうかな?」
加州「まあ、いいけどさ……」
あれ、なんだか拗ねてないかな?
清光の様子が気になりながらも今は鯰尾に集中することにした。
これくらいのことで失敗なんて笑えないからね。
自分の霊力を流し込むことをイメージして、手から手へと……そうそういい感じ。
鯰尾「これぽかぽかして気持ちいいですね」
「これで、いいかな。どう?完治した?」
鯰尾「したっぽいですよ。痛いとこも疲れもないですし」
成功したようなのでほっとするが気が緩むとフラッとする。
目の間が真っ白になるような、変な感覚。霊力が少なくなると体調不良でも起こすのだろうか。
でも、重傷の刀を二人治すくらいの余裕はあってほしいな。