第1章 始
加州「主、大丈夫?休む?」
「大丈夫だよ。さっき休んだばかりなのにすぐには休めないよ……こうしている間にも重傷の刀が折れるか折れないかの瀬戸際にいるかもしれないのに」
加州「だめ。主は休んで」
ふらふらする身体でなんとか立ちあがろうとすると清光に肩を押されて立つことを阻まれてしまった。
本当に大丈夫なのに。
「清光、私は大丈夫だから」
清光「だーめ!そんな疲れてますって顔してるのに働かせるわけがないでしょう。まだ初日なんだし、そんな急がなくてもいいんじゃない?」
「少し、ほんの少し疲れたかもだけど慣れないことをした反動があるだけで元気、だから」
どこに重傷の刀がいるのかわからないので、こういうのは早めにやった方がいいのだ。
それにまだ四人程度しか手入れをしてないのにこんなところでバテてなんていられない。
清光の手を握り、まだやりたいということを目で訴えると清光は気持ちを理解してくれたのか顔を歪めて悩みはじめてしまった
鯰尾「あのぉ、主がそんなんならどこかの部屋で待機してもらって俺達が刀を探しにいくっていうのはダメなんですか?」
「え……?」
鯰尾「主よりかは本丸のこと詳しいですし、どこにいけば何があるかくらい俺達ならすぐわかりますよ」
それはそうだろうけど、二人はまだ病み上がりみたいなものだしな……任せたいところではあるけど心配ではある。
もし戦うようなことになったら……。
いや、仲間同士なんだし私みたいにいきなり斬りつけられたりはしないかな。
「じゃあ、重傷の子を優先に探してきてもらっていい?軽傷や中傷の子は私のところに連れてきてくれれば手入れするし、重傷の子は動けないだろうから案内してくれるなら私がいくし」
加州「仕方ないか。じゃあ、この部屋にいて?わりかし綺麗な方だし」
「気を付けてね二人とも」
二人の頭を撫でると清光は嬉しそうに、鯰尾はキョトンとしているのが可愛くて自然と笑みが溢れた。