第1章 始
?「鯰尾藤四郎です。藤四郎の脇差で元は薙刀でした」
そこに現れたのは黒髪男子でした。
なかなかの美男子。
加州「主、刀のままでも手入れできたのによかったの?」
「え、刀のままでもできたの?でも、今その道具がないからね……この子は、軽傷って感じかな?」
鯰尾「誰、ですか?」
またですか。
警戒してますって表情をして私のことを見ているが仕方ないということで慣れるしかないかな。
「ここに新しくやってきた審神者のなつみです」
鯰尾「新しい審神者……あなたは、危険な人ですか?」
「危険ではないと思うよ。初対面でいきなりこんなこと言われても信じられないだろうけど今の私の目標はあなた達を幸せにしたいってことなので、この言葉をどう受け取るかはあなたに任せます」
下手に言い繕っても嘘臭いと思われるだけなのでシンプルに伝えてみたが、これはこれで嘘臭いと思ってしまった。発言している本人がそう思うのなら相手側も同じようなことを思いそうだし失敗、したかな?
鯰尾「……よし、ならいいです!過去なんてどうでもいいですしね。これからよろしくお願いしますね主?」
「えーマジか。えっと、よろしく……そ、そんな軽くていいの?」
鯰尾「え、軽いですか?でも過去は過去、今は今ですし」
しっかりした子、と言えなくもない男子だね。
もっとドロドロな憎いって感情の一つや二つはぶつけられる覚悟だったけど彼はあまりにも気にしなさすぎのように感じられた。
ちょっと拍子抜けでモヤモヤしてしまうな。
「まあ、信用してくれるのなら……」
鯰尾「何言ってるんですか?あなたを信用するかはまた別の話ですよ……なんて冗談ですって!」
「鯰尾って結構アレだね」
鯰尾「アレってなんですかー、でもまあ新しい主は可愛くて優しそうですしこれからが楽しみです」
明るくて元気な子。
うん、鯰尾藤四郎……いい子。
こんな美男子に褒められて悪い気はしないけど、なんだろう。清光とは違った愛しさを感じられる。
少しずつでも変われてるのかな私。