第20章 口吸い
石切丸「……後悔してる?審神者になったこと」
「してない!ずっと……たくさんの人を幸せにしたいって考えてた……今の私じゃなにもできない無力な小娘っていうのは理解してる。けどここで一人一人の笑顔とか見ていたら……嬉しいって幸せだって感じる」
だから、後悔はしてない。
これからもみんなを笑顔にしたいと思うし守ってあげたいと、幸せにしてあげたいと思う。
あの日、すべてを終わらせようとした日……私は生きた。
生を選んだと同時に死んだのだ。
今までの自分を捨てて、新しく生きることにした。
ただの女子高生として死んで、審神者として生きた。
逃げた、そういわれたとしても否定はしない。
これは私の選んだ道なのだから後悔なんて絶対しない。
「ごめんなさい。ちょっと弱気なとこが強く出ちゃったみたいです……石切丸さん、私は後悔してませんよ。ここで審神者としてみんなのために生きると決めた。難しいことは抜きにして、私は彼らを幸せにすると誓います」
石切丸「……相も変わらず無茶苦茶な子だね」
「なるようになれ。政府の人がよく言ってたんです。結果は後からついてくるものだから今は自分のやりたいようにやれって……だからみんなを幸せにする、それを第一に考えて動くことにします」
端から見れば偽善者とかお人好しに見られるだろうが、上等だ。
お人好しでも偽善者でも、これが私。
私はこれでいいんだ。
「それじゃお腹すいたんで行きますね!アデューッ……ぐっ!」
石切丸「どこいくのかな?」
「い、いやだからお腹空いてて……」
自然の流れで逃げ出そうとしたのに失敗に終わった。
腕は捕まれたままだったのを忘れて走り出そうとしたところ今度は腕を引かれてぽすんと腕のなかに収納されてしまったのだ。
いや、収納とは言わないか……でも悔しいことに身長差が……本当にでかいな。