第20章 口吸い
「ありがとう……すっごく癒された」
ずっと撫でていて万が一にも頭部が薄くなったら大問題に発展しかねないので、この辺りでやめておく。
十分に堪能したし。
鯰尾「こんなことでよかったんですか?」
「興味と言えば男の子の手とか気になるけど……私がされて嬉しいことをするのが好きだから、私としてはそれでいいの。ありがとうね鯰尾」
鯰尾「いえいえ、それじゃ……触り返してもいいですよね?」
……ん?
鯰尾の言葉に私はよくないものを感じた。
触り返しても……?
「や、やだ……絶対変なところ触るもん」
鯰尾「えー、俺変なとこってわからないなーねえねえ主、変なところってどこですか」
「し、知らない!もうほらっ、早くいくよ!いい加減ちゃんとした時間に行かないと歌仙さんに怒られる!」
すたすたと歩いていきながら、鯰尾がどこをどう触れるのか考えるとなんとも言えない気持ちになる。
考えすぎかもしれないが思春期男子だと考えたら……やめよう、鯰尾に失礼だ。
鯰尾「待ってくださ……あ、主!前!」
「ふみゃぅ!」
前を見ずに歩いていたお陰で誰かにぶつかってしまった。
最近よくぶつけるな……
「す、すいません前見てなくて……」
鼻辺りが少し痛いだけなので、特に問題はない。
いったい誰とぶつかったんだろうと顔をあげると……
石切丸「大丈夫かい?」
「う、わぁ……」
全力疾走で逃げたくなる人に出会った。
え、怖……この人どこにでも現れるな。