第20章 口吸い
「鯰尾はその……したい、のかな……キス」
鯰尾「そう聞かれると……はい」
「じゃあ、キス……してもいいよ」
鯰尾「いやいや、主。今怖いって……っえ、あ、主!?」
このままじゃお互い気まずいまま終わりそうな気がしてそれが嫌で私は指を絡めるように鯰尾の手を握った。
「キス、したい」
鯰尾「……ああ、もうっ!わかりましたよ……それじゃ、遠慮なく……」
はじめは鯰尾からしたいといってきたのに気づけば私からねだるなんて変な話だな、なんて思いながら、鯰尾を見つめる。
鯰尾の手が私の頬に触れるだけで、どきっと心臓が大きく跳ねた。
「な、まずお……」
少し怖い。
またおかしくなったらと思うと不安と恐怖で涙が溢れそうにもなる。
怖い、怖いのに期待してしまう自分がいる。
鯰尾はそんな私に優しく微笑んで額や目尻に口付けてくれた。
鯰尾「大丈夫ですよ……痛いことなんてしませんから」
くすりと笑った鯰尾の顔が近づいてくると目を閉じれば唇に感じた熱。
触れては離れ、そしてまた重なる。
優しくて温かい口付け……怖くはなかった。
そしてすぐに唇が離れる。
「ッ……なまず、お……っ、ん……んぅ!」
また唇を塞がれると今度は唇の隙間から侵入してきた熱を持った舌に口内を貪られる。
後頭部を支えられながら繰り返し角度を変えて深く口付けられるとぞくぞくとしてまた、身体が熱くなるのがわかった。
歯茎に口蓋と鯰尾の舌が口内を味わいつくしている感じがたまらなく私を熱くさせ舌が私の舌に絡み付く。
唾液が交わるような音に恥ずかしさで生理的に涙が溢れると薄く目を開けて彼のことを見た。
目が合うと、そっと頭を撫でてくれ安心させようとしてくれる彼に怖さなんて感じられなかった。
だんだんと力も抜けていき鯰尾にすがりつくように密着する。
甘い、甘くて熱い……。
「ふっ……は、ッ……」
やっとこそ唇が離れると私は鯰尾にしがみついた。
鯰尾「やっぱり主は……可愛いですね」
「っ!も、もう鯰尾とはしない」
鯰尾「えーひどいですね。あんなに良さそうな顔して俺とは遊びだったんですか?」
「も、もうっ……もう……知らない!」
精一杯の力で鯰尾にしがみついてやる。
もう、本当……恥ずかしい。