第20章 口吸い
「よし……これでいいかな」
ジャージがあったのでそれを着てから部屋を出ることにする。
最初は巫女服なのに、だんだんとだらしない格好になっていきそうだな……
そう思って襖を開けると……
鯰尾「わっ!」
「うにゃああ!」
鯰尾「うわっ、そんな驚かなくてもいいじゃないですか!でも、主のいい顔見れましたからよしとします!」
「っ!口を縫うよ本気で!」
部屋から出ると、鯰尾が現れて本気で驚いた。
なんてやつだ……!
鯰尾「あー、ごめんなさい。ちょっとした出来心で……」
「出来心で主を驚かせるものじゃない!もう心臓バックバクだよ……」
鯰尾にデコピンの一つでもくらわせてやりたいが我慢した。
子供のちょっとしたイタズラだと思えば可愛い……もの、なのかな。
「それでここまで来るってことは何か用なのかな?」
鯰尾「夜這いにきました」
「……今は昼……いや、夕方ですけど」
鯰尾「夕這いにきました」
「無茶があるよそれ」
本当に何しに来たんだろう。
鯰尾の様子は相変わらずニコニコと笑っていて何を考えているのかわからない。
可愛いけど。
鯰尾「ほら主ってみんなに口吸いしてまわってるじゃないですか」
「どこのビッチだそれ」
鯰尾「俺にもしてほしいなーなんて思ったらいてもたってもいられなくなって」
「手入れのためにやってるだけで……元気な人にはしないし、今後は普通に手入れするつもりなんだけど」
鯰尾「だから、主お願いします」
「本当、きみは人の話聞かないよね」
自由な前向きアレ男子とは思っていたけど、どこまでも自由だな。
本当に冗談をいうためだけに来たのならいいのだが……何か本音を隠して私のところに来たのなら悩みくらい聞きたいところではある。
でもパッと見……わからないんだよね。