第1章 始
「さて、行きますか!あのさ清光、手を繋いでおかない?ちょっと心細いから繋いでくれると嬉しいかなって…」
加州「主がいいならそうしてたいな」
「ありがとう。誰かを探しながら寝床も探さないとね。あとは、ご飯の用意とか、お風呂とか……やることがいっぱいだ」
加州「寝床か……まだ綺麗な部屋は残ってると思うけど、お風呂はヘドロの巣窟だし、台所はちょっと見るに耐えないかも」
どれくらいの期間、審神者がいなかったのか聞いてないけどヘドロのお風呂か。台所も期待できないみたいだし今日は諦めるべきだろう。
食事のことは近くて便利なコンビニを利用したいが場所的にも無さそうだし、この本丸から離れるのも心配。でも私が動かないことには食料調達も難しそうならこんのすけに言えばおむすびの一つや二つもらえたりするかな。
全員分を用意しようかと思ったら500個くらいのおむすびが必要になりそうだけどまだ数名の刀達にしか会えてないし、用意したところで審神者の用意した飯が食えるか!ってならないとは限らないので用意するのも簡単な話ではない。
便利な猫型ロボットがいてくれたらよかったのに。
「こんのすけは猫じゃなくて狐だからな……ん?清光、刀が落ちてる」
歩いていると刀が転がっていたのを見てその場に屈む。
小さくだがカタカタ動いてるのを見るとちょっとホラーだね。
加州「え、あ……本当だ。脇差、だね」
「この子も少し傷があるみたいだね。手入れしてあげなきゃ」
鞘から引いて刃の部分を見るとお世辞にも綺麗とは言えなかった。
真剣を見る機会がなかったから比べるものがないけど少し見てもこの刀は曇ってる。輝きが感じられなくて切れ味も悪そうだ。
優しく鞘の部分を撫でると早く元気になりますようにと思っていたら刀が光だしたかと思うと手に感じていた重みが消えた。