第19章 穏やかな日
鶴丸side
主が去ったあと今日のことを思い出していた。
楽しそうに笑う彼女を俺は……泣かせてみたい、と思った。
おかしな話だ。
彼女が笑っているのならそれでいいはずなのに、あの笑顔を泣き顔に変えてみたいなんて思うなんて……
「……男を惑わす、匂い……か」
あの政府とかいうやつが言ってた身体が男を求める。
欲しがりになる、と。
具体的にどんな害があるのかは彼女にしかわからないことなのだろうが身体が熱くなってつらくなるというのはわかった。
もし、俺が嫌がる彼女を無理に組み敷いて嫌だと暴れる彼女を手酷く抱けば……泣くだろうか。
涙で瞳を潤ませ、顔が涙でぐしゃぐしゃになった姿を思い浮かべ、気まぐれにでも彼女に優しくすれば笑ったりしてまた、あの声で……あの笑顔で、俺の名前を呼んでくれるのだろうか?
想像しただけでぞくぞくとする。
こんな趣味、なかったはずなんだがなぁ。
「参ったな……」
見たい。
見てみたい。
主の、キミの、カノジョの……なつみの、そんな姿が…………