第19章 穏やかな日
「何で名前を……」
小夜「……本気で困っていたみたい、だから……」
ぐさっと何かが刺さったのを感じた。
本気で困っていたみたい、だから?
え、すごい可愛い。
尊すぎて愛しすぎる。
「あ、ありがとうっ……じ、じゃあお姉さんに…手を、見せてもらえるかな?」
鶴丸「……君、なんだか危険な人間に見えてくるから落ち着け」
鶴丸さんに言われて一度落ち着くために深呼吸を繰り返した。
あまりの可愛さに我を忘れそうになっていたかもしれないが、まだセーフだ。
ショタに手を出してはいない。
うん、大丈夫
「これから小夜くんの傷を治すために手入れをはじめたいと思います。腕を見せてくれるなら触れずに手入れできるし、触れていいのなら手を握らせてほしいな」
自身の手を見ながら悩む姿に、まだ怖いんだろうなと思うとこれは手を翳す方法にした方が良さそうだなと思うと小夜くんは恐る恐るといった感じに手を出してくれた。
小夜「……触れても、いいよ」
か、かわいい……。
「じゃあ、ゆっくりと触れるからね。嫌になったら離してくれていいよ……」
そっと手に触れると小さくピクッと反応して不安そうに私を見るがその姿がとても可愛くて、私が堪えられなくなるかもしれないなと思いながら霊力を流し込むことにした。
軽傷だったのですぐに癒えてしまう。
手を離さないといけないとわかっていても……離したくないな、なんて思う私は危険なのだろうか。
小夜「ぽかぽか……」
「ん?あ、これで手入れは終わったよ……ここでのんびりするのもいいし、お外で遊んできてもいいからね」
名残惜しいが手を離すと、小夜くんは私のことをじーっと見つめてきて小さな声ではあったがお礼を言ってくれた。
尊い……。