第19章 穏やかな日
あまりガン見しないように、チラチラと視線を送る程度にしておいた。
ガン見されていい気分になれる人なんていないからな……私もよく見られていたからその辺りは理解できる。
チラチラと見られるのも心地よいものではないけど……
前田「主君」
「あ、前田くんありがとう……本当に助かった。それじゃ君はお部屋でゆっくりしてて?その前に手入れしたいからここに座ってくれるかな?」
?「……うん」
コクりと頷いて私の隣に……ではなく、人二人分くらい空けて座るものだからちょっと心が傷ついてしまう。
これも仕方がないことなんだ。
「さ、触るね……っこれは手入れの特別版みたいなものでやましい気持ちはないから!」
手を伸ばしたところでビクッと震えるものだから両手をあげて自分には害もなければ危害を加えようとは思ってないことを示そうとしたが、ショタの目は信じられるか、みたいな目をしていた。
触れるに触れられない。
怯えるショタに触れようとするなんて……私が危険人物のようだ。
触れなくても手を翳すだけで手入れはできるんだろうけど……。
鶴丸「……大丈夫か?」
「心、折れそう……」
前田「あの、普通の手入れならさせてくれるのではないでしょうか」
「普通の……実は鶴丸さんと、この本丸の中を見て回ったんだけど手入れ部屋らしき場所が見当たらなくって」
鶴丸「あ、そういや見てないな……まだ見てない部屋もあるからなこれから探すのはどうだ?」
「それもいいけど……鶴丸さんを独り占めするのは悪いし、今日もらった説明書みたいなものを見るよ。一応ここのことも記載されてるみたいなこといってたし」
鶴丸さんとて病み上がりみたいなもので心の傷が癒えてないはず。
一緒に遊ぶことで忘れられるならいいが動きすぎて疲れさせるのもあまりよくないのでほどよく休んでほしいのだ。
ならばここで主として頼れる姿を……
小夜「僕は……小夜……左文字」
「…………ん?さ、小夜……?」
くいくいと服の裾を引っ張って私を見るショタ。
小夜、左文字……ん?