第19章 穏やかな日
「……ご、ごめんなさい」
歌仙「はぁ……主、ここに来れば何でも出してもらえると思ったら大間違いだということにいつ気がつくのかな」
食堂にいけばまたあの二人がいた。
お母さんポジションのお二人だ。
優しいお母さんと、ちょっと厳しいお母さん。
そして私はちょっと厳しい歌仙母さんに怒られていた。
「今日はお客さんがいきなり来てそれで……」
歌仙「……これが最後だよ。これからはちゃんと時間は守るように」
燭台切「主、ちょっと厳しいかもしれないけど彼……主が何も食べてないんじゃないかって心配してここで待っていたんだよ」
厨の方に姿を消した歌仙さんだったが、すぐに燭台切さんが近づいてきてそんな話をしてくれた。
厳しいけど優しい母。
さすがだな……。
鶴丸「それで光坊、俺の分は……」
燭台切「それが、ね……」
歯切れの悪さに、鶴丸さんのことながら気になってしまう。
まさか、ないのだろうか。
鶴丸さんの分……。
だとしたら……食べられなかったのって完全に私の責任になる。
どうにかしなくては……
「あ、あの鶴丸さん……鶴丸さんの分がないなら一緒にわけっこしよ……?ほら私、そんな食べないから」
鶴丸「主……いや、大丈夫だ!白米はあるらしいからな、たくあんと味噌汁、飯があれば立派な食事になる」
うわぁ、シンプル。
でも美味しそう……じゃがいもの味噌汁ならなおよし。
だが、鶴丸さんがそれで納得したとしても私が納得できないのだ。
私が刀剣を降ろす……まあ、生み出すみたいなものな訳だし、考え方によったら母にもなるわけだ。
母は自分よりも子供に食べさせる。
つまり私の子供のような鶴丸さんには私よりも食べてもらわないと!
(私が顕現させたわけじゃないとしても)
「鶴丸さんにはしっかり食べてもらいます。今日がダメでも明日、明後日はちゃんと食べてくださいね」
鶴丸「そ、それはもちろんだが……きみもしっかり食べるんだぞ?」
「わかりました」
審神者としてまだまだ未熟でも、どうにかやっていこう。
例え、すべての信頼を得られてなかったとしても、だ。