第18章 来訪者
「我慢できなかったからって普通、神とそーいうことするかねぇ。神と契った時点でお前はもう人間じゃなくなる……本当にバカだなぁ?」
長谷部「貴様っ!」
「下がって……あなたの言う通り……神と深い仲になったことは認めます。事実ですから……もしそれで私が人間でなくなるのなら上等ですよ。私は彼らのいるこの世界で生きると決めた。人間かそうじゃないかなんて些細な問題ですからね」
「……あっそ。その強く高い霊力はある意味呪いみたいなものだ。感情が揺さぶられれば誘惑……いや、催淫としていろんな刀剣男士を惑わす気ぃつけるこったなぁ」
催淫……?
どういう意味だっけ……誘惑はなんとなくわかるけど、催淫が思い出せない。
なんだっけな……。
鶴丸「それは本当か!」
長谷部「主に害はないのか!」
「わ、わぉ」
私でも意味がわからないのに二人はどういう意味なのかわかってるみたいで話に食いついていた。
呪いか……死ぬことをやめたのに呪いなんて言われると不安だな。
この人は、たまにこういうところがあるから傷つきはしないが……ちょっと、心がモヤモヤする。
「害はなぁ……んー俺なったことないから知らんけど、とにかく身体が火照ってその熱さに堪えきれないくらいつらいってのが害か?」
鶴丸「身体が……」
長谷部「それは……」
二人がこちらを見る。
身体が火照る、か。
身に覚えがあるが……言いたくない。
心配をかけたくないっていうのもあるが、迷惑をかけたくないのだ。
「あとは……身体が男を求めるんや。欲しがりちゃんになっちゃうのだよ君たちの主はな」
「っ……詳しいですね。前例でもあるんですか?」
「いんや、ないよ。ただの勘や……ほれそろそろ血をもらおうか」
長谷部「血、とはなんのことだ」
長谷部が私の腕を引いて自分の後ろに隠そうとしてくれる。
紳士的というか、かっこいいなぁ……とは思ったがその話は既に済んでいることだ。
今さら約束を反故にはできない。