第17章 始まる朝
「薬研くんに借りを作るとなんか怖い」
薬研くんがダメなら……鯰尾、もしくは厚くんから借りるのが……いや、鯰尾にしておこう。
彼の服はジャージだ。
ジャージは男女着ても問題ない安全服なのだから。
「あのパワフル男士を探すのは苦労しそうだけど……」
燭台切「部屋にいるんじゃないかな?」
「みんなの部屋、把握してないんですよね……あぁ、でも自分の服のことよりみんなのやるべきことを考えた方が……」
ホワイト本丸って……存在するのかな。
この審神者部屋も机と棚と布団以外何も役立つものはなさそうだし……あの人から審神者についてのことなんて全く聞いていない。
初心者がいきなりボスに挑んでいるような気分だよ……あぁ、悩む。
燭台切「……雰囲気変わったね」
「またですか……鶴丸さん辺りによく言われます。化けの皮が剥がれかけてるっていうんでしょうか……」
燭台切「いや、悪い意味で変わったとは思ってないよ。なんだろう……初めは一生懸命な主なのかなって思ってたけど……」
「けど……?」
燭台切「一生懸命なところは変わってないけど、なんだか……子供みたいだよね主って」
くすっと優しく笑って言ってくれるがそれは褒められているのだろうか。
子供みたい……何千年と生きてる彼らからしたら赤子みたいなものなんだろうが、子供みたい……か。
「……クールな完璧審神者を目指してたのに」
燭台切「く、クールな完璧……?」
「そのどの辺りが、みたいな顔、さすがに傷つきます」
燭台切「あー……完璧とは言いがたいけど……君は頑張ってるよ」
「慰めもなしでお願いします」
理想を現実にするって案外難しいんだな……。