第17章 始まる朝
「いただきます……」
ちゃんと顔を洗ったあとは食事のために食堂に戻ると、既に机には食事が用意されていた。
もちろん、鯉の泳ぐ水なんかで顔は洗ってない。
洗おうとはしたけど洗ってない。
「……そういえば、みんなは?」
燭台切「食事を終えてそれぞれ部屋に戻ったりしているよ。なかには外で遊んでいたり本丸内を歩き回ってる子もいるかな」
子も…つまりは好奇心旺盛な短刀の誰かが本丸内を探検しているということだろう。
可愛いねそれ。
歌仙「君だけだよ。そんなのんびりとしているのは」
のんびりとしているつもりはないのだが……
今日の朝食は焼き魚にしじみの味噌汁にお豆腐とご飯だった。
こんな立派な食事を食したのは初めてかも……いや、料亭とか行ったとき食べたことはあったか。
家庭的な味は初めてだけど。
ゆっくりと黙々食べている私を燭台切さんは不思議そうに見つめてきていた。
片目は眼帯で隠されているので、両目で見られるよりも照れ的なものは軽減されるが、あんなイケメンに見つめられたら誰だってドキドキする。