第16章 推測
「……ここ?」
薬研「あぁ、そんじゃあな大将」
「え、ちょっ……お、おやすみ」
しばらく歩いたところで止まると薬研くんは軽く背中を叩いて行ってしまったようだ。
視界は相変わらず暗いまま。
いったい何を使ったのだろうと外してみるとそれは黒い……ネクタイだった。
ネクタイ……そういえば薬研くん、ネクタイしてたな。
それを使ったのだろうか。
「お世話するつもりがされてばかりだな……」
目元に触れ外の方をみると、綺麗な月が浮かんでいた。
綺麗で……危うい。
そう思えてしまうのは私がおかしいのだろうか。
手を伸ばして月を掴めたら、気分はよくなるだろうか。
綺麗で遠い……
「幸せって……なんだっけ」
私の幸せ、みんなの幸せ……私は、その幸せというものを押し付けようとしてないだろうか。
人それぞれに幸せがあるのに、私のやってることは……
考えるのはやめよう。
今は自分のこと状態をどうにかすることを考えながら眠るとしようかな。
それにもう、一人は嫌だ……。