第16章 推測
「あの、薬研くん……今度は何してるの?」
薬研「万が一のことがあったら困るだろうからな。念のため……よし、よかったな大将、どことなくやらしい感じがするぞ」
「いや、だからね」
薬研「手を繋がないと危ないからな。ちょいと手を拝借するぜ」
部屋から出たら目元になにかをつけられ、手を握られ……なんか、一つの危ないプレイをしている気分だ。
目隠しプレイ……本当だ。
色気云々よりもやらしい感じがする。
初めて目隠しで歩かされたが……何も見えないと不安になるものなんだ……。
部屋に向かっているとわかっていても、どこにつれていかれるかわからない不安とか転げたらどうしようとか……
「ねえ薬研くん……いったい何をつけたの?」
薬研「んぁ?あぁ、手を縛った方が大将好みだったか?すまん、気が利かなくて」
「いや、言ってないよ。私そんな変態趣味ないよ」
薬研「だがな……大将、目が見えない状態で手まで縛ると転げたら怪我するからな……すまないが我慢してもらえるか?」
「君って本当、話聞かないよね」
薬研くんに手を引かれながら歩く私は、頭を抱えたくなった。
この短刀……人の話を聞いてくれない、と。
でも、ゆっくりと歩いてくれるし転げそうになったら支えてくれるし……やたらと紳士的だから何も言えない。
ずるいなぁ。