第16章 推測

薬研「なぁ、大将。ずっと言いたかったことがあるんだ」


「なにかな……告白かな？」


薬研「首の、なんで隠してないんだ。気づいてても言わないだろうが……ほとんどのやつが気づいてるはずだぜ……新しい審神者は誰かのものになった、ってな」


「隠したい、けど……隠したら、ダメって言われてる……から」



首筋に触れてそう呟くと、改めて実感させられる。

いつかは消える痕でも……あの人に、石切丸さんに抱かれた事実は残る。

気のせいと思いたいけど、私は何度もあの人から狂気を感じた。

普通ではない……私に対する狂気。
嫌われている訳じゃない、逆に好かれているんだとは思うがその愛がとても深くて……怖いと思ってしまった。

愛されたことのない私にとって、あの愛は……


「薬研くんには話したよね。この痕を残した人のこと……そして、気づいてるはずだよ。この身が、純潔なものでないことも」


薬研「気づいてはいたが、隠されると思ってたよ。そういうことをする審神者って思われたらごく一部には悪い印象を与えかねないからな」


「拒めなかったし拒みたくなかった。ただそれだけ……もしかしたら私のなかに神気を注がれたから今は…薬研くんも影響を受けなかったのかもね」


私が選んで決めたことだ。
後悔なんてしてない……。

私は、私の意思で審神者をやっているんだから……。