第15章 変化
運動がてら私も鶴丸さんを見習ってみんなの様子を見ることにした。
みんなの後ろを通りながら様子を見るが本当に、みんな楽しんでくれているな……前の時は怪我していたり気分が優れなかったりとどんよりとした雰囲気があったのに……楽しんでいるのならよかった。
堀川「あ、主さん」
呼ばれたことには気づいたが、一瞬だけ視線を向けてからなにも見なかったことにして立ち去ろうとすると……
「うぎゃっ!」
堀川「あはは、カエルみたいな声ですね」
足首を掴まれて転げさせられました。
い、痛い……。
ちょっと待ってとか追いかけてくる訳じゃなくまさか転げさせられるとは……
山姥切「……大丈夫、か?」
「小悪魔に捕まってしまった自分の運を呪いたい」
堀川「ほら主さん、そんなところにいたら邪魔ですから早く起き上がってください」
見た目はかわいいのに本当、小悪魔みたいな子だ。
身を起こしてぶつけた鼻を撫でながら仕方なく堀川くんのとなりに座ると前に置かれたものは、一つのグラス。
「……なにこれ」
堀川「お酒ですよ」
「いや、未成年なので、飲まないので」
堀川「僕、主さんが酔って素直になるところみたいんですよね」
「だからお酒、飲めない」
堀川「あ、これはあまり強くないので大丈夫ですから」
私の言葉は彼には届かないのだろうか……。
グラスを持ってクンクンと匂いを嗅いでみるが……お酒だ。
鼻にツンとくる匂い……。
飲んであげたいけど未成年の飲酒は固く禁じられているから、私はグラスを置いた。
「一年後に飲ませてもらうから、今回はごめんね」
堀川「……はぁ、まったく主さんは……仕方ないですね」
早々に諦めてくれるのは嬉しいけど、まるで私が駄々をこねたみたいな感じがして納得はできない。
口では勝てそうにないので戦うつもりはないけど。
なんか悔しい。
「そうだ……呼び止めたからには私に用があったんだよね?」
堀川「いえ、ないですよ」
「…………」
何なのだろう、この子……。