第10章 反省
「お邪魔でしたか」
『いんや、自分の大事な実験材料がいなくなって怒ってるやつを鎮めるだけやし大丈夫よん。引っ越しして正解やね……こんな悪霊憑かれたらあとが厄介やわ』
いま、悪霊って言わなかったか。
あの本丸にいて冷気のようなものはずっと感じていた。
それはたぶん、みんなの黒い感情が生み出したものかと思っていたけど……その辺りは詳しくないけど何かある、いやいるのだろう。
「大丈夫、なんですか」
『大丈夫、って言いたいが……そっちの本丸の結界、俺がやってるけど弱まると困るから自分のおうちは自分で守んよ。結界の張り方は教えたやろ』
「……はい」
『夜はあちらさんの力が強まるが……やりがいはあるな』
この人、本当に何しているのだろう。
あの本丸になにかいるとするなら……あり得ない話ではない。
刀剣の誰かに殺された前任。
あの人の黒い感情が……悪霊と化したのかも。
乗っ取りの話は聞いたことがあるが、本当に引っ越ししておいてよかった。
乗っ取られるようなことがあれば、それこそ首を跳ねられる事態になりかねない。けど、本当なら私が何とかしないといけないのになんでこの人は……私に優しすぎなのではないだろうか。