第9章 お風呂でバッタリ
「ふぅ、気持ちよか…………」
ない。
そういえば私、部屋から出てそのままここに来たから着替えなんて持ってきてない。
タオルは……なんか、綺麗に畳まれてるやつがたくさんあるからいいとしても着替えがないのはきつい。
元々私が着ていた服は……自分のものながら、ちょっときちゃない。
数日、あんなボロボロな本丸のなかを歩き回ったり座ったり寝転んだりしたんだ。
そりゃあ、汚れもするが……どうしよう。
着替えの服がないと困る。あんなきちゃない服をまた着るほど我慢強いわけではないからね。
全裸で突っ立っていられないのでタオルを身体に巻くが、着替えの服を用意し忘れていたのでこの本丸には私の服なんてどこにもないわけで……
「大ピンチ……」
困ったな……タオル一枚で本丸内を歩き回るなんて痴女だよ……。
「あ、そうだ」
きょろきょろと回りを見ると姿見を見つけてそちらに近寄った。
脱衣所に姿見なんて珍しいな……曇りそうなものなのに、でもちょうどいい。
私は身体に巻いていたタオルを取った。
自分で自分の身体を見るのは変な感じだが……痕のことが気になる。
赤い痕は、あるけど……首筋とか、首辺りが多い気がする。あとは胸元も……