第9章 お風呂でバッタリ
歌仙「…………」
「…………」
わかってはいたけど……会話がない。
やはり一緒にお風呂なんてよくなかっただろうか……疲れを癒す場なのに疲れさせてしまうな。
ならばここは……
「歌仙さんって……手入れは必要ないですか?」
歌仙「手入れ……?大丈夫、だけど」
「……挨拶と手入れ回りをしているので、知り合った人みんなに聞いてるんです。でもあれですね……いいことなんですけど、手入れする子が思ったより少なくてよかったです」
歌仙「よか、った……?」
「怪我とかないほうが、いいじゃないですか。今は人の身体を得てますからね……傷口からばい菌でも入ればそこから化膿したりして苦痛を味わうことになりますからね」
その辺りはどうなのかは聞いてないが人の姿を得て怪我をしたら血が出るのはわかったので普通の人間のように化膿したり、っていうのもないとは言えない。
よく見てなかったけど手入れした人のなかにはそういう人もいたかもしれないわけだし……けど、怪我をした人がすべてって訳でもない。
「……刀解。歌仙さんはしってますかあの……」
歌仙「短刀たちのことかい?知ってるよ……僕も見せられていたからね」
「短刀たちは、ひどいことをされていたと聞いてます。本人たちには聞けないので伝え聞いた、って程度ですけど……ボロボロになるまで働かされて折れたら、終わり。そして、残された子達はボロボロになれば手入れもしてもらえず刀解……」
歌仙「……そうだね。記憶を維持させる方法とかでずいぶんと苦しまされていたはずだよ」
そして、記憶を維持させられたままつらい記憶と共に今もいる……そんな素振りもなかったから気づけなかったけどみんなつらい記憶は残っているんだよね。
長谷部もたくさん傷つけられたみたいなこと言ってたし……