第9章 お風呂でバッタリ
?「ん……誰かいるのかい?」
「審神者がいたりします」
?「…………え?」
意外と反応が薄い。
もっと、きゃー誰ーみたいなやり取りがありそうなものだが私がそういうタイプではないのでそんな事態にはならないのです。
とりあえず恥ずかしい気持ちはあるので背を向けてはいます……痕は、隠せないのでもう諦めました。
?「まさか噂の新しい……」
「噂があるんだ……まあ、その審神者です。あなたはどちら様でしょうか」
歌仙「お互いの格好を考えると自己紹介なんてしてる場合でもない気が……僕は歌仙兼定」
「ここで気まずい雰囲気だしてもあれかなと思いまして……あ、でも一応女子なのでガン見は勘弁願います。私は新しい主のなつみです」
お互いの自己紹介を済ませたところで……どうしようか。
「あの、そこに立っててもあれですし、お風呂に入ってください」
歌仙「君、本当に女子かい……?君がそんなんだとこっちが反応に困るのだけど……」
「恥ずかしい気持ちはあるんですが慌てたりしてもあれですし……こんなに広いお風呂を独り占めとか嫌なので歌仙さんもどうぞ。背を向けてくれればそれで大丈夫です」
歌仙「いや、そういうわけには……」
「いーですよ。もう一緒に入りましょう……それとも、あれですか新しい主と同じ湯に入りたくはない、と?」
歌仙「そんなことは思ってないけど……わかったよ。じゃあ失礼する」
ほとんど強制させてしまったが、一緒にお風呂くらいでガタガタ言いません……入る前に一緒に入ろう、なんて誘われたら即断るけど。
今回は不可抗力みたいなものだし、仕方ないと思うことにしよう……姿も見ずに声しか聞こえてこないけど、悪い人ではないだろう。
ちょっと、ほんのちょっと振り返っても……いや、やめよう。
目があったら恥ずかしい。