第1章 始
「この際、ファーストキスとか言ってられないよね。みんなのために頑張らなくちゃ……それで本丸のことなんだけど、こんなに荒れてたら気分も沈むから何とかしたいんだけど」
こん「ここの本丸は大きいですからね!自力で頑張ってください」
「はい?この荒れ果てた本丸を自力で掃除、しろと?」
こん「主様!ご自身のお役目を思い出してください」
ご自身のお役目って……。
政府の人に聞かされた言葉を思い出す。
刀剣の浄化と、刀剣達の生活環境の整え……刀剣達の身と心のケア。
「刀剣男士のために血へどを吐いてでも彼らを幸せにする。それが私の役目、かな。政府の人からもそう聞かされてるからね」
加州「主……」
「ちょっと……いや、すごく大変だけど一緒に私たちの本丸を綺麗にしていこうか清光」
清光に笑いかけると清光も同じように笑ってくれて、彼の笑顔を見られただけで私は頑張ろうと改めて思えた。
あの時、死のうとしていた私にあの人は生きる意味を与えてくれた。
生きているなら今は清光達、刀を絶対に幸せにしてやる。
加州「ねえ、主……主は俺のこと、可愛がってくれる?」
「うん、もちろんすっごく可愛がるよ。清光はいい子、可愛い子……そんな泣きそうな顔しないで、私は清光のこと大事にする愛してあげるから」
加州「主っ……」
「あー……もう、泣かないでって言ったのに。ほらぎゅーしてあげるから早く泣きやんで」
私が誰からも愛してもらえなかった分、たくさんの愛を彼らに与えよう。
清光のことを抱き締めて背中をポンポンと叩くと余計に泣き出したので少し困ってしまった。
これだとまるで私が泣かせたみたい。
いまだにいるこんのすけに目で帰っていいよ、ということを伝えると静かに消えた。