第8章 お引っ越しをはじめよう
「……私、バカだからよくわからなくて……自己満足でやってることなのかもしれないけど、傷ついている人を私が治せるのなら自分のことなんて後回しで何とかしたいって思っちゃう」
燭台切「それがよくないよ。主だって人間で女の子なんだ……もっと自分を大事にすべきだよ」
頑張るってことがよくわからなくなってくる。
母や父に言われて勉強を頑張っていたけどそれは理解して記憶して、それをテスト用紙に書いたりすればいいだけで頑張るとはまた違う気がする。
頑張るってなんだっけ……。
みんなのために何かを一生懸命することを頑張るって言うんだっけ……でもそれは私が好きでやっていることで一方通行の行為なのかもしれない。
あぁ、また苦くなる。
苦くて……暗くて…痛い。
「……苦い」
燭台切「主……?」
「頑張りすぎるのはよくないって……ちょっと難しいや。みんなのためになにかしてあげたいけど頑張りすぎはだめって……うーん」
燭台切「ほどよくって……難しいかな。じゃあ、疲れたら僕のところにおいで」
「疲れたら……?」
燭台切「本当は疲れる前に自分で気づいてほしいけどね」
きっとこれからも傷ついた人を見たら私は治したくなるはずだ。
自分が疲れていたとしても……無理をせずに頑張るって今の私には難しいな。
霊力が高いっていうんならもっと疲れないほどの霊力があればいいのに……そうすれば、私だって……
燭台切「ちょっとずつでもいい。頑張りすぎないようにってことを理解するまでは僕のところにきてくれたら……主?」
「すぅ……」
燭台切「寝ちゃったか……おやすみ……なつみちゃん」