第1章 始
加州「ねえ、主。手入れは嬉しいんだけど資材とか残ってないよ?」
「え、資材ないの?」
手入れをするには資材というものが必要だと説明を受けたのだが……まあ、万が一のために特殊なやり方も教えてもらえたから慌てなくてもいいけど。
「清光、資材を使わなくてもちょっと特別な方法で手入れができるらしいんだけど、試してもいいかな?」
加州「う、うん。それは構わないけど……痛くない?」
「試したことはないんだけど痛くないはずだよ。不安ならやめておくけど?」
加州「ううん、俺は大丈夫だから試してもいいよ」
「そう?それじゃ、失礼して……」
清光の腕に手を翳すと、力を送り込むのをイメージしてみればほんのりと光輝きみるみるうちに傷が癒えていくとお互いに驚いた。
加州「え、すごいよ主!こんなやり方もあるんだ」
「すごいね。初めてしたけどうまくできた。でも、このやり方……資材を使うのとは違って直接力を使うから消耗が早いらしいんだよね」
霊力が高いらしいからすぐには倒れるようなことはないと思うけど、重傷の刀達ばかりを癒してたらそう長くはもたない。
清光も服とかで隠れているとはいえ重傷だし……頑張らなくちゃね。
それにしても、口頭での説明だったから今回が初めてのことだったけど普通手入れって刀本体にぽんぽんするものなんじゃ……?これじゃあ怪我をした美少年を手入れではなく手当てをしただけなのでは……刀剣の世界って不思議ね。