第5章 短刀
前田「この上に寝転んでください」
「座蒲団……わざわざ持ってきてくれたの?ありがとう」
前田「いえ……」
少しして戻ってきた前田くんは私に数枚の座蒲団を持ってきてくれた。
みんな優しいけど、こんな可愛い子に優しくされると嬉しさから泣きそうにもなる。
可愛い……。
乱「じゃ、あるじさんには、このままここで休んでもらおうか」
「んー、今日は休んでばっか……」
秋田「大丈夫ですか……?」
「大丈夫……大丈夫。これからもっと頑張らなきゃいけないからね…あ、掃除のことを伝えついでに大広間に集まるように言ってもらえる?本当に頼ってばかりでごめんね」
乱「もう、あるじさんはそーいうの気にしない……ボク、もう審神者のこと信じないって決めてたけど……あなたなら信じてみようって思えるよ」
「……君たちは優しいね。まだ知り合ったばかりだしどういう答えを出すかは任せるよ」
頷いてくれた四人を見送ると私は座蒲団の上に倒れた。
理想としてはあれやこれやと指示をして本丸を良くする主をイメージしていたのだがそう簡単にはいかないようだ。
手入れをするだけでここまでになるとは……でも、もう一つの原因は……か、考えない。
あの人のことを思い出したら鼓動が早くなるから忘れよう。
忘れるに限る。
「……あと、何人くらいいるのかな……」
まだまだ平和な本丸の道のりは遠そうです。