第1章 始
「心配しなくても傷つけないよ。私はあなた達、刀のためにここに来たの」
?「だから、なに?言うだけなら誰でもいえることじゃん。そんなんで誰が信じるっていうわけ?」
彼は私を今に刃先を向けたまま睨み付けてきた。
いつ斬られてもおかしくないが私は一歩、また一歩とゆっくりと彼との距離をつめていった。
「言うだけならタダだもんね。信じられないのは当たり前だし私も無理して信じろとは言わない……でも私はあなた達を救いたいだけ。まずはあなたの名前、教えてくれないかな?教えたくないなら言わなくても構わないよ」
なんて、警戒しているのに簡単に教えてくれるわけ……。
加州「加州、清光」
教えてくれるんだ。
「そっか、加州清光。うん、素敵な名前ね……信じられないかもしれないけど私はあなたを傷つけるつもりはないから」
加州「そんなの信じられるわけっ!」
「そうだね。あなたに信じてもらえるようなことを私は言えないし何をすれば安心してもらえるのかもわからない……今の私にできることはただ大丈夫としか言えない。だからどうしたいかはあなたに任せる。信じられないのなら今この場で斬ってくれていいよ」
加州「あんた……死ぬのが怖くないの?」
「怖いよ。無力なまま、なにもできずに死ぬのは怖い……あなたからしたら安い命かもしれないけど私にはこの安い命をかけてでもあなたに少しだけでも信じてもらえたらな、なんて思ってるよ。だからね改めて言うね……私はあなたを傷つけない、これからは私があなたを守るから」
そっと加州の身体を抱き締めると一瞬身体が強張っていたが、すぐに刀が床に落ちる音が聞こえた。
正直身体を密着させた途端、後ろから刺される可能性を考えてなかったわけではなかったが、根が優しいのか人を傷つけるのが苦手なのか悲惨な結果にならずに済んで心底安心している自分がいる。
加州も私にしがみつくようにしてから泣き始めたので優しく頭を撫でてその場にゆっくりと座った。
ここまで傷つけられて、とても怖い思いをしたのだろう。
私が守ろうとしているのはきっとこういう子達の集まりなんだろうなと考えながら今は加州が泣き止むまで頭を撫で続けた。